- これまでの数多くの研究において、コロナウイルスを含むウイルスは湿度や雨に弱いとされてきた
- このため、日本における新型コロナウイルスの感染拡大は、梅雨には収束するのではないかという推測が多数なされている
- そこで、本記事では現時点(4/9)の各国の感染者数と、3月の降水量の関係について独自に検証することとした
- 結果、通説とは逆に、以下の事実を示すことができた
①降水量が多い国ほど感染拡大は進んでいる
②これはインフルエンザウイルスには見られない特殊な性質である可能性がある - つまり、梅雨には感染拡大が収束するどころか一気に感染拡大する可能性もあり注意が必要という結果になった
1. 各国の降水量と新型コロナ感染者数の関係
- 各国の新型コロナウイルス感染者数を人口100万人当たりに直し、10を底とする対数値で表した指数と、3月時点の降水量の関係を以下で示す
(気象データは以下の気象庁HPより取得)
気象庁|世界の天候データツール
(新型コロナウイルス感染者データは以下のWHOのHPより取得)
- 降水量が多い国ほど感染が拡大している傾向にあることがわかる
- 日本は例外的に、降水量が多いにもかかわらず比較的感染は拡大していない
- 上記のほか、感染拡大の決定要因には以下などが想定される
①一人当たりGDPの水準が高いほど感染拡大(以下で検証済)
GDPが高いほど新型コロナは感染拡大する? - 八木電流のブログ
②各国の3月平均気温が高いほど感染は抑制(以下で検証済)
- そこで上記の影響を排除した比較を行うべく、GDPや気温の条件が似通っている欧米先進国に限った比較を行う
- GDPや気温の条件が似通っている欧米先進国においても、降水量が多いほど感染拡大しているという明確な関係性が認められる
- よく比較されるスぺインとポルトガル、ドイツとポーランドも上記の関係を保っており、隣国同士での感染拡大の差を説明する一つの要因になりうる
- 最後に念のため、欧米先進国において、気温と降水量の関係について相関がないかどうか確認をする
- 特に降水量と平均気温との間に関係は認められなかった
- つまり、気温と降水量は互いに独立した変数として感染拡大の影響を与えている可能性が高い
3. インフルエンザウイルスとの比較
- 新型コロナウイルスについて、インフルエンザウイルスと比較し、降水量との関係性がどの程度あるか検証したい
- まずは、2019年3月のインフルエンザ患者数と2020年4月9日の新型コロナウイルス患者数の比較について以下で示す
(インフルエンザ患者数は以下のWHOのHPから取得)
- 両者の間に正の相関はみられず、若干負の相関があるようにも見える
- つまり、昨年インフルエンザが流行した国で今年新型コロナウイルスが流行しやすかったという事実はないと思われる
- 両社は全く関係ないか、あるいは昨年インフルエンザが流行した国では今年の新型コロナウイルスは感染拡大しにくい傾向があると考えられる
- 最後に、2019年3月のインフルエンザの患者数と降水量の関係について示す
- インフルエンザ患者数と降水量の間に関係はみられない
- このため、新型コロナウイルスが降水量が多いほど感染が拡大しているのは独自の特徴である可能性がある
4. 結論
- 以上示した通り、新型コロナウイルスは降水量が多いほど感染拡大しやすい特徴がある
- そして、その特徴はインフルエンザにはみられない特殊なものであるとみられる
- 降水量が増えるほど新型コロナ拡大する理由には以下の仮説がある
①新型コロナウイルスは雨や湿度を特に好む
②雨が降った結果、室内にこもり窓を閉めるため感染が拡大しやすい
③雨が降った結果、下水からウイルスが蔓延している
※ (4/20追記)接触感染する感染症は雨季に拡大することは珍しくないようです - 上記の他に考えられる理由があれば、ぜひコメントいただきたい